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会社設立時に考慮すべき節税事例

1. 資本金額

設立時の資本金額が1,000万円未満ですと、第1期、第2期は消費税が免除されますが、1,000万円以上ですと設立当初から消費税が課税されます。
平成25年1月1日以後に開始する年または事業年度からは、前事業年度開始の日から6か月間の課税売上高が、1,000万円を超えた場合、当課税期間においては課税事業者となります。
なお、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。

→POINT

設立時の資本金額が1,000慢円未満 第1期、第2期は消費税が免除 つまり 消費税の観点から資本金は1,000万円未満で設立をおススメします。

2. 消費税の還付

開業当初は多額の設備投資を行ったり、赤字となることがよくあります。
そうすると、売上等から受け取る消費税よりも、設備投資や仕入、経費の支払い等で支払う消費税の方が多額になります。 受け取る消費税よりも支払う消費税の方が多額の場合、手続きをすることにより消費税の還付を受けることができます。

3. 法人成りした場合の事業範囲

第3期目以降は2期前の事業年度の売上高が1,000万円超か否かで消費税が課税されるかが決まります。
例えば、第1期の売上高が1,000万円超であれば第3期は消費税が課税されます。
個人で売上高900万円のA事業、売上高800万円のB事業を行っている場合、どちらかの事業のみを会社を設立して移せば、A事業B事業ともに消費税が課税されないことになります。

4. 設立事業年度の期間

設立1期目は事業年度開始日が設立日、終了日は決算日ですので、設立事業年度の期間は1日から1年間と自由に決めることができます。

→POINT

資本金額1,000万円未満ですと、第1期、第2期は消費税が免除されることから、1期目の期間は長い方が消費税が免除される期間も長くなるため、有利になります。

5. 配偶者の方を役員にするべきか?

ご夫婦で会社を設立しようとする場合に、2人とも役員にするべきか、それとも1人は従業員にするべきか考えるところです。
この場合、考慮するべきなのは、報酬・給与です。役員に対する報酬は一度決めたら、原則としてその事業年度の間は金額を変更することができません。ボーナスを支払うこともできません。

6. 株主構成・役員構成

以下の条件に全て該当しますと、社長への報酬の一部が会社の経費にならないという規定があります。

  1. ①社長と親族等が90%以上の株式を保有していること
  2. ②社長と親族等で役員の過半数を占めていること
  3. ③社長の給与と会社の利益が3年平均で1,600万円を超えること

→POINT

この規定の適用を回避するために、従業員や友人に株式を保有してもらったり、役員になってもらったりすることが考えられます。
会社設立後に株主構成・役員構成を変更することは手間・コストがかかるため、できるならば会社設立時に行っておくことをお勧めします。

株主構成・役員構成

7. 本店所在地の場所

会社で事務所を借りていたとしても、社長の自宅を本店として登記していることがあります。
これは、事務所を移転した場合でも登記を変更しなくても良い等の利点があることから行われています。
ただし、本店が登記されているのみであり、実質的に会社の本店として機能していない場合は、その旨を届け出ないと、本店に対しても法人住民税均等割という税金がかかってくる可能性があります。

8. 役員報酬の変更

事例

A社とB社はともに設立1期目で両社とも600万円の役員報酬を支払っています。A社は毎月同額で50万円の役員報酬を支払いましたが、B社は不定期に役員報酬を支払い、毎月同額では支給しませんでした。この結果、両社の税額にどのような違いが出たでしょうか?

  A社 B社
売上 1,500万円 1,500万円
役員報酬 600万円 600万円
その他経費 400万円 400万円
利益 500万円 500万円
所得 500万円 1,100万円
法人税 90万円 234万円
住民税 23万円 47万円
事業税及び法人地方特別税 27万円 77万円
税金合計 140万円 358万円

事業年度の途中で役員報酬の金額を変更したB社は218万円も多くの税金を支払うことになってしまいました。

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解説

役員とは、社長(代表取締役)、取締役、監査役などを指し、この役員へ支払う給与のことを役員報酬といいます。

会社を設立すると、社長さんを含めた役員の方へ役員報酬を支払うことになります。この役員報酬は、原則として毎月同額を支払う必要があります。
役員報酬の金額を変更してしまうと、役員報酬として支払った金額の全てが会社の費用として認められずに、会社の税金が増えてしまうことになります。

また、役員報酬の金額は事業年度開始後3か月以内に決めて、その後は原則として変更できません。 従って、新設会社は会社設立後3か月以内に会社がどの程度儲かりそうか予算を立てて、その上で役員の給与の金額を決めることになります。

参考-法人にかかる税金

東京23区の場合

種類   税率及び税額
法人税   年間課税所得のうち、
800万円以下の部分・・・15%
800万円超の部分・・・・25.5%
法人
住民税
法人税割(※1) 法人税額に対して・・・17.3%
  均等割(※2) 7万円
法人事業税及び地方法人特別税   年間課税所得のうち、
400万円以下の部分・・・5%
400万円超800万円以下の部分・・・7.3%
800万円超・・・9.6%
償却資産税(※3)   償却資産価格に対して・・・・1.4%

(※1)資本金1億円以下で、かつ、法人税額が1,000万円以下の場合。それ以外は、20.7%。
(※2)資本金1,000万円以下、従業員数50人以下、23区内の1区にのみ事業所がある場合。会社が存在することに対してかかる税金であり、赤字であろうと、毎年必ず発生します。
(※3)土地・建物・自動車を除く有形固定資産に対してかかります。償却資産の帳簿価額が150万円未満の場合は免除されます。

(注)復興特別法人税の導入

平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度について各課税事業年度の基準法人税額(所得税額控除等を適用しない場合の法人税の額)に10%の税率を乗じた復興特別法人税が課されることとなりました。

復興特別法人税
  1. (1)平成23年12月改正(法人実効税率の引下げ+課税ベース拡大)の実施とセットで、基準法人税額に対して10%の時限的な付加税が創設されます。
  2. (2)3年間(平成24年4月1日から平成27年3月31日までの期間内に開始する事業年度)の措置とされます。
  3. (3)課税標準は基準法人税額とし、納税義務者は法人税の納税義務者と同じとされます。
基準法人税額:
各事業年度の所得に対する法人税の額(特定同族会社の特別税率、所得税額控除、 外国税額控除等を適用しない場合の法人税の額)
この影響により、上記【1】の平成23年12月改正により、ひとたび30%から25.5%に引き下げられた法人税率が、平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度までについては、復興特別法人税率を加算することで、28.05%(25.5%×10%=2.55%を加算)となります。
このため、法人税の実効税率は、当初の予定では40.69%から35.64%に引き下げられるはずでしたが、38.01%となり、税率引下げによる恩恵を100%受けるのは平成27年4月以後開始する事業年度からとなり、それまでは2%程度の税率低下に留まることとなります。

9. 夫婦で役員の場合の役員報酬の配分

事例

新規に設立されたC社は鈴木さん夫妻が役員として経営しています。鈴木さん夫妻は二人の役員報酬を合計で1,000万円と決めているのですが、どのように配分したら夫婦の所得税・住民税が安くなるのかを考えています。どのような配分にしたらよいでしょうか?

  パターンA パターンB
役員報酬 5,000,000円 5,000,000円 7,000,000円 3,000,000円
給与所得控除 1,540,000円 1,540,000円 1,900,000円 1,080,000円
健康保険(※1) 233,000円 233,000円 326,200円 139,800円
厚生年金保険(※2) 392,600円 392,600円 549,640円 235,560円
基礎控除 380,000円 380,000円 380,000円 380,000円
所得合計 2,454,000円 2,454,000円 3,884,000円 1,164,000円
所得税 147,900円 147,900円 341,300円 58,200円
住民税 245,400円 245,400円 384,400円 116,400円
パターン別
税金合計
786,600円     900,300円
  • (※1)役員報酬の4.66%として計算。(自己負担額のみ)
  • (※2)役員報酬の7.852%として計算。(自己負担額のみ)
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夫婦500万円ずつのパターンAと夫700万円・妻300万円のパターンBで試算してみた結果、パターンAの方が113,700円安くなりました。

新しく会社を設立される方の中には夫婦で会社を設立される方もいらっしゃると思います。
この場合、二人の役員報酬の配分を変えることによって所得税・住民税の合計が異なってくるのです。
これは、所得税が超過累進課税方式を採用しているため、所得が増加すると適用される所得税率も高くなるためです。
従って、夫婦の役員報酬を同額にする方が、税金のことだけを考えるとお得になることが多いです。

10. 特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入

事例

D社は設立4期目であり、役員は代表取締役の佐藤さんだけです。株式も佐藤さんが100%所有しています。D社の所得と佐藤さんの役員報酬の推移は以下のようになっています。

この場合、4期目の佐藤さんへ役員報酬は全額D社の経費となるのでしょうか?

  1期 2期 3期 4期
D社所得 400万円 500万円 600万円 700万円
佐藤さん報酬 800万円 1,200万円 1,400万円 1,600万円
合計 1,200万円 1,700万円 2,000万円 2,300万円

結果

この場合、4期目の佐藤さんの役員報酬のうち、250万円はD社の経費とならないのです。
役員報酬を1,600万円支払って700万円まで減らしたD社の所得が950万円になってしまったのと同じことですね。なぜこのようなことになってしまったのでしょう。

解説

これは、『特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入』という規定です。税務にありがちのとっつきにくい名前ですね。
これは、

  • ・業務主宰役員(会社の経営に最も中心的に関わっている役員1人)とその親族等が会社の90%以上の株式を保有し、
  • ・業務主宰役員と親族等の役員がその会社の役員の過半数の人数である場合で、
  • ・業務主宰役員の給与と会社の利益が3年平均で1,600万円を超える場合(ただし、平均額が3,000万以下であり、かつ、平均額に占める業務主宰役員へ支給する給与の平均額が50%以下である場合を除きます。)には、業務主宰役員に支払う給与の一部を費用として認めないというものです。

要するに、実質的に個人事業と変わらない会社から役員へ報酬を払うことにより、役員は給与所得控除を利用できるため所得税が低くなるのですが、その分法人税で経費を認めないことにより法人税額が高くなるというものです。

個人事業から法人成りすることによる大きな節税メリットの一つがこれで使えなくなってしまいました。
対策としては、業務主宰役員と親族の株式持分が90%未満となるように分散させることが考えられますが、外部の株主を入れると会社の経営に支障をきたす恐れがあり、慎重に検討する必要があります。

11. 源泉徴収納付もれ

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事例

E社は1月1日に設立された会社であり、1月より毎月役員及び従業員に給与を支払っています。しかし、会社を設立したばかりで忙しかったため、源泉所得税を納付するのを忘れており、1月から3月まで支払った分を4月11日にまとめて支払いました。

結果

その後、所管の税務署から納付が遅れた源泉税の10%の不納付加算税と年率14.6%の延滞税を納付するように指示が来たのです。

解説

ご存じの方も多いと思いますが、源泉徴収は会社が支払いを行う時に一定額を所得税の仮払いとして天引きして預かり、税務署に納付する制度です。

会社から個人へ支払を行う場合の多くが源泉徴収の対象となります。社長を含めた役員給与はもちろん、従業員への給与、アルバイトへの給与、税理士等への報酬、その他個人へ報酬・料金等を支払う場合は源泉徴収の対象となります。

源泉所得税の納付期限は翌月10日です。ただし、従業員が10人未満の場合は『源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書』を提出することにより、7月10日と1月10日にまとめて支払えばよくなります。
源泉徴収を忘れてしまうと、税額の10%の不納付加算税及び年率14.6%の延滞税がかかりますので、ご注意ください。

12. 青色申告①-欠損金の繰越と繰戻

事例

F社とG社は設立2期目が終了し、法人税の確定申告を行おうとしています。設立1期目は開業に多額の経費がかかり、赤字となりましたが、2期目は営業が好調に推移し、黒字を確保できました。F社は設立直後に『青色申告承認申請書』を提出しましたが、G社は設立3か月を経過した後に提出しました。この結果、両社の税額にどのような違いが出たでしょうか?

結果

事業年度   F社 G社
1期目 利益 △1,000万円 △1,000万円
法人税
住民税 7万円 7万円
事業税
税金合計 7万円 7万円
2期目 利益 1,200万円 1,200万円
繰越欠損控除 △1,000万円
所得金額 200万円 1,200万円
法人税 36万円 264万円
住民税 13万円 53万円
事業税 11万円 89万円
税金合計 60万円 406万円

『青色申告承認申請書』の提出が遅れたG社はF社よりも346万円も多くの税金を支払うことになってしまいました。

解説

illust

-青色申告について

青色申告という言葉は皆さんよくお聞きになると思いますが、これは、一定の帳簿を設けて正確に記帳している納税者には、欠損金(赤字)の翌事業年度以降への繰越しや、多額の設備投資を行った場合の税額控除(税金の減額)、30万円未満の固定資産の費用処理等の様々な特典が認められるという制度です。

社長として会社を経営していくためには、そもそもドンブリ勘定でいいわけはなく、青色申告でなくてもキチンと帳簿をつけることは当然のことと言えます。

税務上も数々の特典があるので、必ず会社設立後3か月経過する前に『青色申告承認申請書』を提出しましょう。

解説

-欠損金の繰越と繰戻について

青色申告法人で中小企業(大会社の子会社等を除く、資本金1億円以下)の場合は、欠損金(法人税計算上の赤字)を9年間繰越すことができます。従って、1期目が赤字で2期目以降が黒字の場合は、1期目の赤字と2期目以降の黒字を相殺でき、2期目以降の税金が安くすみます。

また、設立5年以内の中小企業(大会社の子会社等を除く、資本金1億円以下)の場合は、赤字が出た場合、過去5年以内の事業年度の黒字と相殺し、既に納めた税金の還付を受けることができます。

F社は1期目より青色申告法人となったため、2期目の赤字と1期目の黒字を相殺できたことから、2期目の税金が安くなったのですね。

13. 青色申告②-税額控除と特別償却

事例

H社とJ社はともに設立1期目のインターネットベンチャー企業であり、H社は独自に開発したサーバー用オペレーティングシステムに1,000万円を投資し、J社は1,000万円のデータベース管理ソフトウェアを購入しました。
両社とも販売が好調で1期目から黒字が出ているのですが、H社は設立直後に『青色申告承認申請書』を提出しましたが、J社は設立3か月を経過した後に提出しました。
この結果、両社の税額にどのような違いが出たでしょうか?

結果

  H社 J社
利益 2,000万円 2,000万円
税額控除前法人税 504万円 536万円
税額控除 70万円
法人税額 434万円 504万円
住民税額 82万円 94万円
事業税額 165万円 165万円
税金合計 681万円 763万円

『青色申告承認申請書』の提出が遅れたJ社はH社よりも84万円も多くの税金を支払うことになってしまいました。

解説

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青色申告法人は、以下のような場合に該当する場合は、支払った金額の数%から十数%の税額が控除される、または、固定資産取得価額の30%前後を一括して費用処理できるなどの特典があります。

  • ・製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する費用を計上した場合
  • ・新品で1台当り280万円以上の機械装置、120万円以上の器具備品を取得した場合
  • ・新品で1台当り160万円以上の機械装置、120万円以上の器具及び備品、70万円以上のソフトウェアを取得した場合(資本金3,000万円以下の法人の場合)
  • ・基本システム、データベース管理ソフト、ファイアウォールソフト等の取得価額の合計額が70万円以上の場合
  • ・従業員等の教育訓練のために外部に支払う費用が労務費の0.15%以上の場合。

ただし、これらの規定には細かい要件があったり、毎年要件が変わったりします。該当する可能性がありましたら、税理士又は税務署に問い合わせてみるといいですね。
H社はサーバー用オペレーティングシステムに1,000万円投資したため、投資額の7%の70万円を法人税額から控除することができました。

14. 青色申告③-30万円未満の固定資産

事例

K社とL社は設立1期目の会社で、1台25万円のパソコンをそれぞれ12台ずつ購入しました。K社は設立直後に『青色申告承認申請書』を提出しましたが、L社は設立3か月を経過した後に提出しました。

この結果、両社の税額にどのような違いが出たでしょうか?

結果

  K社 L社
パソコン償却費計算前利益 2,000万円 2,000万円
パソコン償却費 300万円 75万円
所得 1,700万円 1,925万円
法人税額 414万円 482万円
住民税額 79万円 90万円
事業税額 137万円 158万円
税金合計 630万円 730万円

『青色申告承認申請書』の提出が遅れたL社はK社よりも100万円も多くの税金を支払うことになってしまいました。

解説

青色申告法人の特典第3弾です。通常は10万円未満の固定資産(一般的に1年以上の長期にわたって使用される資産)は取得した事業年度に費用計上することができ、10万円以上のものは数年間にわたって費用計上することになります。

しかし、青色申告の中小企業は10万円以上30万円未満の固定資産も取得した事業年度に費用計上することができます。当然、利益が減って、税金が安くなります。

これで、設立直後にPC等の備品をそろえた場合も全額費用計上できますね。ただし、1事業年度300万円という上限がありますので、ご注意ください。

15. 消費税課税事業者と免税事業者

事例

M社とN社は資本金300万円で設立された1期目の会社です。設立1期目ということで開業経費や設備投資が多額となりました。
M社は開業事業年度中に『消費税課税事業者選択届出書』を提出しましたが、N社は提出しませんでした。
この結果、両社の税額にどのような違いが出たでしょうか?

結果

  M社 N社
売上 105万円 108万円
経費 315万円 324万円
設備投資 525万円 540万円
消費税還付額 56万円

『消費税課税事業者選択届出書』を提出しなかったN社は、56万円の消費税の還付を受けることができませんでした。

解説

まずは、消費税の課税事業者・免税事業者について説明します。

消費税は、売上に上乗せしてお客様から預かり、仕入等で支払った消費税を差し引いて納税します。消費税を納める義務がある事業者を「課税事業者」といい、免除されている事業者を「免税事業者」と言います。

課税事業者は、預かった消費税より仕入や設備投資で支払った消費税が多い場合は、その差額の還付を受けることができるのです。

設立1期目・2期目は開始日の資本金が1,000万円未満であれば、免税事業者となります。3期目以降は、その2期前の課税売上高が1,000万円以下であれば免税事業者となります。

15. 消費税課税事業者と免税事業者

1期目・2期目
開始日の資本金が1,000万円以上か?
前事業年度開始の日から6か月間の課税売上高が1,000万円以上か?
(平成25年1月1日以後適用)
3期目
1期目の課税売上高が1,000万円超か?
4期目
2期目の課税売上高が1,000万円超か?

ただし、上記の判定で免税事業者となる場合でも、『消費税課税事業者選択届出書』 を提出することにより課税事業者になることができます。
M社は売上から預かる消費税よりも仕入・設備投資等で支払う消費税が多いことを予測して、『消費税課税事業者選択届出書』を提出して課税事業者となったのですね。
その結果、消費税の還付を受けることができたのです。

売上から預かった消費税額・・・ 8万円= 108万円 / 1.08×8%
控除対象消費税・・・ 64万円= 324万円 / 1.08×8%+525万円 / 1.08×8%
還付される消費税額・・・ 56万円= 64万円-8万円

ただし、ここで注意しなくてはいけないのが、一旦『消費税課税事業者選択届出書』を提出すると、最低2年間は消費税課税事業者となってしまうことです。

本来であれば、消費税を免除されていた2期目も消費税を課税されることから、1期目と2期目をトータルで考えて、消費税の課税事業者となった方が得か損かを考えなくてはなりません。

16. 消費税原則課税と簡易課税

事例

O社とP社は資本金1,000万円で設立された1期目の会社であり、飲食業を営んでいます。N社は『消費税簡易課税制度選択届出書』を開業事業年度中に提出しましたが、O社は提出しませんでした。
この結果、両社の消費税にどのような違いが出たでしょうか?

結果

  O社 P社
売上 3,240万円 3,240万円
仕入 540万円 540万円
設備投資 326万円 324万円
消費税納税額 96万円 176万円

『消費税簡易課税制度選択届出書』を提出しなかったP社は50万円余計に消費税を納めることになってしまいました。

解説

課税事業者であっても、差し引く消費税の計算方法により、原則課税と簡易課税というものがあります。
原則課税というのは、お客様から預かった消費税から差引く消費税額を計算する時に、実際に仕入等で支払った消費税額を使用する方法です。
簡易課税というのは、実際に支払った金額ではなく、預かった消費税に対して一定率(みなし仕入率)を掛けて計算する方法です。
原則課税よりも簡易課税で計算した方が控除対象消費税が大きくなる場合は、簡易課税を採用した方が得になります。
このみなし仕入率は、業種ごとに定められており、以下の表のようになっています。

みなし仕入率表

業種 みなし仕入率
第1種事業(卸売業) 90%
第2種事業(小売業) 80%
第3種事業(製造業) 70%
第4種事業(飲食業・その他の事業) 60%
第5種事業(サービス業) 50%

O社の消費税額の計算

売上から預かった消費税額・・・ 240万円= 3,240万円 / 1.08×8%
控除対象消費税・・・ 144万円= 240万円×60%(※)
納付すべき消費税額・・・ 96万円= 240万円-144万円

(※)飲食業のため、60%となります。

P社の消費税額の計算

売上から預かった消費税額・・・ 240万円= 3,240万円 / 1.08×8%
控除対象消費税・・・ 64万円= 540万円 / 1.08×8%+324万円 / 1.08×8%
納付すべき消費税額・・・ 176万円= 240万円-64万円

簡易課税制度で控除対象消費税額を計算したO社は144万円の控除、原則課税制度で控除対象消費税額を計算したP社は64万円の控除となった結果、P社は80万円消費税を多く納めることになってしまいました。

ただし、この簡易課税も一度選択すると最低2年間は継続しなくてはなりませんので、2年間の予算を立てた上でどちらが有利か判定する必要があります。

また、簡易課税で計算できるのは、2期前の事業年度の課税売上高が5,000万円以下の場合だけです。

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